10年くらい前から日本でも知名度が上がってきているポートランド。
2013年にエル・ジャポンが別冊付録としてポートランドを取り上げたのを皮切りに、2014年にはポパイでまるごと1冊ポートランドが特集されたり。
「街づくり」「再生都市」としての書籍も色々出ているので、興味がある人はぜひそちらも。
ここでは完全に私の主観でポートランドを紹介します。
初めて訪れたのは2015年春。
とにかく都市がコンパクトで、移動が便利で、街歩きがとっても楽しい場所。
自然が豊か、食のレベルが高い、街も人もサステナブル意識が高い場所。
アメリカ国内で引っ越しするならポートランドだなぁと思い、2023年夏に1ヶ月滞在してみました。
8年ぶりの今回の目的は「住んでみたらどんな感じ?」をじっくり体験すること。
観光地巡りはほどほどに、ポートランダーたちのおすすめの過ごし方をベースに、ポートランドの楽しみ方を10選に厳選しました。
ポートランドの特徴
・アメリカ西海岸のオレゴン州にある都市・州都
・北緯43度で北海道札幌市と同じ緯度(姉妹都市でもある)
・1年を通して雨が多く、安定して晴れるのは夏場のみ
・人口は64〜65万人。白人が75%・アジア系は8.7%(日本人は6千人弱)
・面積は375.55 km2、うち8%は水面
因みにわたしが住むロサンゼルス郡の人種比率は白人28%・ヒスパニック系45%・アジア系18%(日本人は6.5万人)。
[出典元 U.S. Census Bureau 2021年、外務省 海外在留邦人数調査統計 2022年]
「ポートランドって◯◯なところだよね」とよく形容されるのは
・サステナブル
・消費税がない
・都市の再生・維持に成功している
・住みたい街ランキング上位
・ローカル愛が強い
・地産地消の意識が高い
・食のレベルが高い
・ヒゲとタトゥー
・自然豊か、アウトドアが盛ん(NikeやDanner、Keen、Columbiaの発祥地。日本のSnow PeakやSOTOの北米本社もポートランドに)
・ドラッグに寛容(ハードドラッグは非犯罪、マリファナやマジックマッシュルームは合法)
・自転車の街
・安楽死が認められている(オレゴン州として)
などなど。
他の有名都市と違い、かなりこじんまりとした都市で、自然豊かだけどほどよく都会。
「成功したい」「有名になりたい」ではなく、「心地よく暮らしたい」人たちが集まる都市です。
ポートランドの楽しみ方10選
1. スーパーマーケット&ファーマーズマーケット巡り
物価、食材の種類・新鮮度、オーガニック思考の強さなどが分かります。
ポートランドは地元発のスーパーが多く、品揃えもローカルのものがたくさん!
店内を見て回るだけでもとっても楽しい。
お土産探しにもなるので幾つかのスーパーをハシゴしてみては?
地元発の主なスーパーマーケット(グロサリーストア)
・Market of Choice
・New Season
・Zupan’s Market
・Nature Grocers
・Pastaworks

ロサンゼルスのGelson'sやErewhonみたいなスーパー
ポートランドで食事をしていると野菜や果物の新鮮さに驚きます。
ポートランドには都市成長境界線(Urban Growth Boundary)という境界線があり、開発行為が認められる都市部と、認められない郊外を区別。
人々が生活する都市部と、郊外にあるファームとが近いので、食材が新鮮なうちにテーブルに並ぶことになるのです。
ポートランドのスーパーやファーマーズマーケットで売られている野菜や果物が瑞々しいのはこの”線”のおかげ。
ファーマーズマーケットはそんな"地産地消なポートランド"を実感できる絶好の場。
特にPortland State Universityで開催されるファーマーズマーケットでは、ローカル(オレゴン州・ワシントン州)で収穫されたものや、ローカルの材料を25%以上使った加工食品しか販売できないなど、地産地消レベルも高いのです。
ポートランド市内の主なファーマーズマーケット
・People's Farmers' Market(水曜日)※ヒッピー系スーパー、People's Food Co-opの店頭で開催
・Kenton(金曜日)
・Portland State University(土曜日)
・King(日曜日)


ファーマーズマーケットのついでに立ち寄るのも◎
2. ローカルのブランドばかりを扱う”Made in系”のショップ巡り
地元産のアイテムばかりを扱ったショップがあちこちにあるのもポートランドの特徴のひとつ。
中でもTender Loving Empireはポートランド市内に6店舗(うち2店舗はポートランド空港内)あり、短期間の滞在中でも行きやすい。
ポートランドのモノづくりの特徴を感じられるし、お土産探しにもなるのでぜひ。
主なMade In系のショップ
・Made Here
・Tender Loving Empire
・Portland Gear
因みに、今や全米や日本でも有名なNIKE、Pendleton、Keen、Columbia、Dannerもポートランド発。
さすがアウトドア系が強いですね。


3. ダウンタウン散策
「街歩きができる」「街歩きが楽しい」というのは、車社会のアメリカでは実はとっても珍しい。
ポートランドは「街歩きがむっちゃ楽しい!!!」都市の代表格。
あちこち巡ってほしいけれど、まずは中心地であるダウンタウンから!
ダウンタウンのおすすめスポット
・Canoe:洗練されたデザインの雑貨を取り扱うショップ。日本のアイテムも。
・Powell's City of Books:全米一の面積を誇る本屋。新書も古本も一緒に並べえられている。(Hawthorneにもあるが規模は小さい)
・Living Room Theaters:インディペンデント系の映画館。
・MUJI:無印良品のポートランド店。ローカライズしたアイテムも並ぶ。
・The Good Mod:モダンデザインの家具屋さん。ビルの上階にあり、手動扉のエレベーターで向かうのがまたいい。
・Oblation Paper Press:紙製品を中心とした文房具屋さん。特にオリジナルデザインのカード類がおすすめ。
・Kiriko Made:日本人オーナーによるオリエンタルなストア。日本の古い布を再利用したアイテムの数々も注目。
・Frances May:日本やヨーロッパのブランドも取り扱うセレクトショップ。
・Tender Loving Empire:ローカルアイテムを扱うギフトショップ。
・Made Here:ローカルアイテムを扱うギフトショップ。
・Ace Hotel:ストアでオリジナルアイテムを買うもよし、隣のStumptownのコーヒー片手にロビーでくつろぐのもよし。
・Pendleton:ネイティブアメリカンの模様が特徴のアイテムやアウトドア向けの洋服など。
・Elizabeth Leach Gallery:コンテンポラリーな作品を扱うギャラリー。ふらっと立ち寄るのが◎。無料。
・Portland Art Museum:ポートランドでは最も大きなミュージアム。毎週金曜日4-8pmは入場無料。
・Farmer’s Market @ PUC:2でも紹介したファーマーズマーケット。敷地内の「Jordan Schnitzer Museum of Art」は入場無料なので時間があったらぜひ。






4. 滝があるトレイルをハイキング
自然豊か!なポートランドを味わうならハイキングへ。
そして、せっかくなら滝があるトレイルへ。
有名なMultnomah Fallsをはじめ、様々なトレイルがあります。


5. ワシントンパーク
ポートランド市内にあるワシントンパークは小高い丘にある森に囲まれた公園。
ハイキングするもよし、Portland Japanese GardenやPittock Mansionを訪れるもよし。
Pittock Mansionは、ローカル誌『The Oregon』の創立など地元の有力者であったPittock氏の邸宅(1914年完成)。
晴れた日の庭からの眺めは圧巻!
遠くにそびえ立つMt. Hoodも臨めます。
Portland Japanese Gardenは北海道札幌市との姉妹都市を記念し1963年に設立した日本庭園。
北米に数ある日本庭園の中でも最も素晴らしい庭園の一つで、滝や鯉の池、東屋、枯山水などが見事に再現されています。
「日本に近い気候だからこそ再現できるんだろうなぁ」とロサンゼルス在住のわたしはしみじみ思いました。
園内にはCultural VillageやUmami Cafeなど、隈研吾氏の設計による建物も。


晴れた日にはMt. Hoodまで臨める。


6. カフェ&レストラン巡り
ポートランドはとにかく食のレベルが高い!
新鮮な食材が手に入りやすいこと、全米の腕利きシェフが集まってくること、がその理由。
ロースター、ベーカリー、フードカー、レストラン、ブリュワリー...。
適当に入った店でも美味な上、お値段がとても良心的(さらに消費税がかからない)ので、ぜひ食べ飲み歩きを!
人気のカフェ・レストラン
・Heart Coffee Roasters(カフェ)
・Coava Coffee Roasters(カフェ)
・Stumptown Coffee Roasters(カフェ)
・Barista(カフェ)
・Electrica PDX(Schoolhouse内のカフェ)
・Little T American Baker(ベーカリー)
・Sweedeedee(カジュアルなレストラン)
・Luce(カジュアルなイタリアン)
・Broder Nord(カジュアルなレストラン)
・Jacqueline(シーフードレストラン)
・Bollywood Theater(インド料理)

7. 橋巡り
街の中心を大きな川が流れ、14の橋が架かるポートランド。
近代的なデザインからちょっとレトロなものまで、全く異なるデザインなのがいい。
ポートランダーたちにはお気に入りの橋があり「どれが好き?」という会話をするそう。
歩いて渡ってみたり、橋のふもとでピクニックしてみては?

ダウンタウンのウォーターフロントパークの散歩がおすすめ。

麓の公園でピクニックするのも◎。
8. 近郊の街へ
ちょっと足を伸ばして近郊の街に行ってみるのも面白い。
オレゴンコーストと呼ばれる太平洋側には「Cannon Beach」や「Astoria」という街があります。
Cannon Beachは可愛らしい店が並ぶ通りがあり、ビーチとシーフードとショッピングが楽しめます。
さらに北上すると、映画『グーニーズ』の舞台にもなったAstoriaがあります。
I5で南下すると「Ashland」という街が。
ポートランド在住の友人たちが口を揃えて「ロサンゼルスから来るならぜひ立ち寄って」というほど。
可愛らしい建物・店が並ぶ通りをぷらぷら。
ちょっと住宅街に入るとシカに遭遇するかも。
時間に余裕があるならぜひ「クレーターレイク国立公園」へ。
9. おすすめお土産
地元発のロースターのコーヒー豆はお土産にぴったり。
ここではコーヒー豆以外に、「かさばらない」「溶けない」「漏れない」「割れない」を基準に選びました。




10. Cool過ぎるポートランドのお店
ローカル愛が強いポートランドでは、ナショナルブランドやチェーン店を見かけることは少ないです。
ここでしか味わえないインディペンデントなストアや施設を訪れてみるのもおもしろいものです。
ダウンタウン以外にあるおすすめショップ
・UNA(アパレル。店主のマダムが素敵すぎる)
・Beam&Anchor(雑貨屋)
・Cargo(日本のビレッジバンガードみたいな店)
・Schoolhouse Electrica(雑貨・インテリア、カフェ)
・Kennedy School Hotel(小学校をリノベしたホテル。映画館もあり)
・Pistils Nursery(園芸店。雑貨屋。裏には鶏も)
・Tao of Tea(お茶の専門店。茶器もあり)※地元スーパーのZupan'sでも取り扱いあり
・The Meadow:塩とチョコレートの専門店。ポートランド市内に3店舗あり。
ポートランドを訪れるなら
季節・気候
・9月〜4月は雨が多い
・音楽フェスのPickathonは8月頭開催
イベント
・フリーマーケット:Portland Flea(毎月第3日曜日)
・アートイベント:First Thursday(毎月第1木曜日)オールドタウン/チャイナタウン〜パールディストリクトでアートイベント
・アートイベント:Last Thursday(毎月最終木曜日)アルバータ通り15th Ave〜33rd Ave
・アートイベント:First Friday(毎月第1金曜日)サウスイースト
ポートランドの予習をするならコレ!
ポートランドを訪れる前に読んで・観ておくと面白いのはこちら
・Webサイト『 Travel Portland』(ポートランド観光協会)
・書籍『GREEN Neighborhood グリーンネイバーフッド 増補改訂版 ポートランドに見るアルチザンエコノミーという新しい資本主義のかたち』
・書籍『ポートランド 世界で一番住みたい街をつくる』
・書籍『ポートランド・メイカーズ クリエイティブコミュニティのつくり方』
・書籍『TRUE PORTLAND the unofficial guide for creative people 創造都市ポートランドガイド』
・書籍『REAL PORTLAND CITY GUIDE: #リアルポートランド』
・雑誌『POPEYE (ポパイ) 2014年 07月号』
・映画『AIR/エア』(2023年)ナイキとマイケル・ジョーダンによるエアジョーダン誕生秘話