アート 西海岸カルチャー

砂漠に点在するアートを巡るフェス「Desert X」

09/07/2024

砂漠の芸術祭Desert X

こんにちは、MAYです。
芸術祭でコンテンポラリーアートをぐるぐる巡るのが大好きです。

日本では瀬戸内芸術祭の成功をきっかけに、全国でさまざまな芸術祭が行われるようになりました。
ヨーロッパでは「トリエンナーレ」「ビエンナーレ」とよく耳にしますが、アメリカではあまり聞きません。特にあの規模のものは。
(ネバダ州で行われるBurning Manは有名だけど、芸術祭の域を超えてるし、参加の難易度も高い...)

そこで今回は、ロサンゼルス界隈では唯一と言ってもよい芸術祭「Desert X(ビエンナーレ)」をご紹介します。
わたしは2019年の第2回以降、毎回泊まりで訪れています。

そもそも開催地であるPalm Springsが大好きで、わたしにとってはスピリチュアルスポット。
あの一帯を、ぐるぐる巡っている間に浄化され、気持ちが癒やされていくのを感じます。

会期である3〜5月のPalm Springsは最も過ごしやすい季節でもあるので、Desert Xをきっかけにぜひ訪れてみてください。

Desert Xは砂漠で開催されるビエンナーレ(2年ごとの開催)

2016年にSusan L. DavisによってThe Desert Biennialが組織され、2017年に第1回 Desert Xを開催。
以降、2019年・2021年・2023年に開催され、次回は2025年春に第5回が開催決定しました。

Desert Xのミッションはというと

To create and present international contemporary art exhibitions that engage with desert environments through site-specific installations by acclaimed artists from around the world.

https://desertx.org/about/about

和訳すると「世界中の著名なアーティストによる、その場所ならではなインスタレーションを通して、砂漠の環境と関わる国際的なコンテンポラリー・アートの展覧会を企画・開催すること」。

ほとんどの作品が屋外展示(鑑賞無料)され、その場所・地形・背景を生かしたものばかり。
Coachella Valley内に点在しているので、車でぐるぐる回って鑑賞します。

開催地のCoachella Valleyは、ロサンゼルスから車で2-3時間内陸にあり、中心地はPalm Springs。
そう、あの有名な音楽フェス「コーチェラ・フェス」開催地の近くです。
4月開催のコーチェラ・フェスとは会期が被るので、フェスに行く人はDesert Xにも立ち寄ってみましょう。

砂漠に「鏡の家」が出現

おそらく最も有名な作品は2017年の Doug Aitkenによる《Mirage》、通称Mirror House。

鏡に映る砂漠と空、そして夜景は特異で神秘的。
この作品がきっかけでDesert Xを知ったという人も多く(わたしもその一人)、Desert X 2017終了後に撤去される予定でしたが、あまりの人気に2018年3月まで展示が延長されたほど。
※既に撤去され、現在は鑑賞できません(残念)。

先住民との関わり

Nicholas Galaninによる《Never Forget》(Desert X 2021)

Desert Xはアートと地域社会との関係を深めることを目的とし、特に先住民の文化や歴史への配慮に取り組んでいるのも特徴。
開催にあたっては先住民との対話・協力を行い、先住民の神話や象徴をテーマとした作品展示、先住民アーティストの参加を推奨しています。

Cara Romeroによる先住民をテーマにしたフォトシリーズ, Desert X 2019
https://desertx.org/dx/archive/jackrabbit-cottontail-spirits-of-the-desert

過去のアート作品

Torkwase Dyson《Liquid A Place》, Desert X 2023
https://desertx.org/dx/dx-23/torkwase-dyson
Gerald Clarke《Immersion》, Desert X 2023
https://desertx.org/dx/dx-23/gerald-clarke
Matt Johnson《Sleeping Figure》, Desert X 2023
https://desertx.org/dx/dx-23/matt-johnson
Paloma Contreras Lomas《Amar A Dios En Tierra De Indios, Es Oficio Maternal》, Desert X 2023
https://desertx.org/dx/dx-23/paloma-contreras-lomas
Alicja Kwade《ParaPivot (sempiternal clouds)》, Desert X 2021
https://desertx.org/dx/desert-x-21/alicja-kwade
Desert X 2019(Gary Simmons)
Gary Simmons《Recapturing Memories of the Black Ark》, Desert X 2019
Desert X 2019(Pia Camil)
Pia Camil《Lover’s Rainbow》, Desert X 2019


スマホアプリを使ったARアートも。

毎回訪れたくなるSunnylands

Sunnylands
このランドスケープは南カリフォルニアならでは!

そして、外せないのはSunnylandsという施設。
中心地からはちょっと離れていますが、ぜひ足を運んでいただきたい!

1960年代初頭に建設された個人の邸宅で、現在は公的な役割を果たす非営利団体Sunnylands Trustによって運営され、一般公開(ツアー)やイベント開催に使われています。

外交の場として、アメリカ大統領や国際的なリーダーとの会談にも使われたことがあるそう。
2013年の米中首脳会談(バラク・オバマ大統領と中国の習近平国家主席)、1990年のサミット(ジョージ・H・W・ブッシュ大統領とソビエト連邦のミハイル・ゴルバチョフ書記長)はSunnylandsで行われました。なんと!!!

Desert X(デザートエックス)

2年に1度、砂漠で開催される芸術祭

  • 時期:奇数年の3月〜5月(次回は2025年3月8日〜5月11日)
  • 場所:Palm Springsを中心としたCoachella Vally
  • 料金:アート作品の鑑賞は無料(有料のオプショナルツアーが提供される場合も)
  • HUBスポット:Ace Hotel & Swim Club, Palm Springs
  • 公式サイト:https://desertx.org/

4月下旬には35℃を超える日もあるエリアなので、早期に訪れるのがおすすめ。
事前に専用アプリ(作品マップがGPS機能と連携していて便利)をダウンロードしておきつつ、現地のHUBスポットにてカタログをピックアップしましょう。

Desert X豆知識

2020年にはサウジアラビアで「Desert X AIUla」が開催されましたが、これについては環境や地元住民への配慮不足・利益重視に見える活動として賛否が分かれたそう。以降、カリフォルニアのDesert Xではより一層環境への配慮、地元コミュニティとの対話を重視したり、国際的なアーティストが積極的に参加するようになったと言われています。


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MAY

東京でWebマーケティング・ECコンサルに従事した後、2011年に長年の夢であった海外生活をすべくロサンゼルスに移住。現在はフリーランスとして旅をしながら様々なWebプロジェクトやアテンド案件に参画。
趣味:街散策(#しべさんぽ)、ロードトリップ、キャンプ、国立公園巡り、イベント巡り(特にフェスと映画祭)、西海岸メイドの素敵なブランドを発掘すること。

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