日本

2泊でも全然周りきれない!新潟・大地の芸術祭

大地の芸術祭(トンネル)

今や日本の国際芸術祭としては、瀬戸内国際芸術祭と共にツートップとも言える「大地の芸術祭 新潟越後妻有アートトリエンナーレ」。
2000年に新潟の越後妻有でスタートし、3年に1度開催され、前回は2024年で第9回。
総合ディレクターは瀬戸内国際芸術祭や北アルプス国際芸術祭と同じく北川フラム氏です。

訪れてみると「なぜこの場所で始めようと思ったの?」と感じるほどの大地っぷり(田舎っぷり)。
北川氏が新潟出身だったことも大きいでしょうし、20年以上続いて来たのには地元の人達の努力・協力が欠かせなかったはず。

とにかく作品数が多い!!!

歴史が長く、作品数も多く、その数なんと300点以上。
その名の通り"大地"を西へ、南へ移動しまくります。

最低でも2泊3日で訪れてほしいところ。
しっかり堪能しながら全作品を制覇するなら、2泊3日を3回くらい必要かも。

最も有名かつ人気の「トンネル」は通期で入場可能なので、会期外に訪れるのもおすすめ。
会期中の混雑期には予約必須だし、混み混みなので写真撮影もハードなので。

なお、トリエンナーレで春〜秋にかけて開催されますが、冬季にも「越後妻有の冬 2025」のように企画展やイベントを開催しています。

MAYのお気に入り5作品

まだ全作品を鑑賞できていないのですが(今のところ1/3くらい)、今のところのわたしのお気に入りをご紹介します。

T465《HERE-UPON/ここにおいて 依り代》(景山健、日本)-十日町エリア-

大地の芸術祭(HERE-UPON)

高靇神社境内の若い杉を囲むように建つ作品。
下に潜って見上げると、中央部が空洞になっていて空が覗きます。

この作品は設置場所を含めてお気に入り。
背後に設置された「T450《MAN ROCK V》(アントニー・ゴームリー、イギリス)」も鑑賞しましょう。
高靇神社への参拝も忘れずに。

K005《光の館》(ジェームズ・タレル、アメリカ)-川西エリア-

台所横の和室
1階の廊下

ジェームズ・タレル好きとしては絶対訪れたかった場所。
光のアーティストであり、"光の魔術師"とも呼ばれるジェーズ・タレルが谷川潤一郎の『陰翳礼讃(いんえいらいさん)』から構想を得た造られた作品だそう。
館内の随所にタレルらしい光関節光が仕掛けられていたり、可動式な屋根が開くことでタレルの代表的な作品《オープンスカイ》(直島の地中美術館、金沢21世紀美術館にあり)を思い起こさせる和室、光ファイバーが施された浴室などがあります。

日没時や日没後にはまた異なる印象を受ける作品たちを楽しむには、施設の貸し切り or 宿泊が必要。
季節の良いときにぜひ泊まってみたいと思っています。

可動式の屋根を開け放つと...(和室"Outside In")

T025 越後妻有里山現代美術館 MonET -十日町エリア-

大地の芸術祭(MonET)
日没時も本当にきれい
大地の芸術祭(Force)
T415《Force》(名和晃平、日本)
大地の芸術祭(movements)
T412《movements》(目 [mé]、日本)

越後妻有里山現代美術館、Museum on Echigo-Tsumari、通称MonET=モネ。
館内には14つ、屋外に8つの作品が展示されています。
建物自体も素晴らしく、特に中央のプール《Palimpsent:空の池》(レアンドロ・エルリッヒ、アルゼンチン)に映る光景は圧巻。
夕暮れ時や夜景もぜひ見ていただきたいスポットです。

館内の作品たちも興味深いものばかり。
通年で開館していますので、芸術祭以外でもぜひ訪れてみてください。

目が離せなくなる「415《Force》(名和晃平、日本)」

T173 《鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館》(田島征三 、日本)-十日町エリア-

大地の芸術祭(田嶋美術館)
大地の芸術祭(田嶋美術館)

廃校が決まった小学校で、最後の在校生となった生徒3人とともに創り上げた"空間絵本"の世界。
2階建ての校内の教室、廊下、階段、体育館とあらゆる場所に、絵本の中から飛び出してきた世界が広がります。
校舎の外の作品たち、そしてヤギたちにも挨拶するのも忘れずに〜。

大人はもちろん、子どもたちは大喜び間違いなし!
通年で開館しているので、ぜひ訪れてみてください。

ここのヤギたちの鳴き声、ちょっと変かも?笑

N079《光のトンネル》(マ・ヤンソン/MADアーキテクツ、中国)-中里エリア-

Tunnel of Light、パノラマステーション [ライトスケープ(光の洞窟)]
第一見晴所
第二見晴所 [FLOW]
第三見晴所 [しずく]

大地の芸術祭と言えば必ず紹介されるのがこの「Tunnel of Light」。
日本三大峡谷の一つとして知られる清津峡にある渓谷トンネルは1996年に開坑し、2018年の大地の芸術祭でアート作品として生まれ変わりました。

全長750メートルのトンネルを進み、途中にある3つ見晴所から峡谷を覗き、最後のパノラマステーションでは圧巻の水鏡。
場所により照明の色が異なるトンネル内も楽しみながら進みましょう。

駐車場からトンネルまでの景色も素晴らしいですし、トンネル手前のエントランス施設にある足湯&天井のヘリスコープ(潜望鏡)も見どころです。

通年で開坑しているので、四季折々で訪れてみたい作品です。

芸術祭期間中の混雑が予想される日は事前予約(アソビューでチケットを購入)が必要なのでご注意ください。
わたしは1回目は完売だったため、日を改めて再度訪れました。

パノラマステーションの端は厚底の靴ならばそのまま歩けます(裸足で歩いてもOK)

6つのエリアにアートが点在

「十日町エリア」、「川西エリア」「中里エリア」「松代エリア」「松之山エリア」「津南エリア」があります。

各作品の鑑賞料は400〜800円程度なので、会期中に約10作品以上鑑賞する予定がある場合は、パスポートが便利。
※パスポート提示で1回目は無料。作品によっては2回目も無料のものも。

最初にインフォメーションセンター(3箇所あり)でパスポートを購入し、無料のマップをもらってからスタートするのがおすすめ。

パフォーマンスアートは期間限定で鑑賞できます。
気になるパフォーマンスは事前に調べ、その日に合わせて訪れましょう。

前述の「MAYのお気に入り5作品」を除いて、面白かった作品例はこちら。

十日町エリア

T450《MAN ROCK V》(アントニー・ゴームリー、イギリス)
T326《Kiss&Goodbye(越後水沢駅)》(ジミー・リャオ、台湾)

中里エリア

N101《日本に向けて北を定めよ(74°33'2")》(リチャード・ウィルソン、イギリス)

松代エリア

D001《棚田》(イリヤ&エミリア・カバコフ、旧ソビエト連邦/アメリカ)
D402《視界/覗き灯篭》(前山忠、日本)
D061《花咲ける妻有》(草間彌生、日本)
D058《関係ー黒板の教室(教育空間)引き出しアート》(河口龍夫、日本)
D184《リバース・シティー》(パスカル・マルティン・タイユー、カメルーン/ベルギー、フランス)
D068《フィヒテ(唐檜)》(トビアス・レーベルガー、ドイツ)
松代城
1F:D377《憧れの眺望》(エステル・ストッカー、イタリア)
2F:D378《らくじゅだい》(豊福亮、日本)
3F:D379《脱皮する時》(鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志、日本)
D344《五百筆》(ウー・ケンアン、中国)、華園(中国ハウス)
D143《脱皮する家》(鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志、日本)

松之山エリア

Y052《最後の教室》(クリスチャン・ボルタンスキー+ジャン・カルマン、フランス)
目が慣れるまでは真っ暗でほとんど見えない。慣れるとこのくらいまで見えるように。
※1枚目の画像はナイトモードで撮影

大地の芸術祭の巡り方

大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ

新潟・越後妻有で3年に1度開催されるトリエンナーレ。
下記情報は2024年開催時の情報をもとに記載しています。

会期:夏〜秋に約4ヶ月間(2024年は7月13日〜11月10日)開催
時間:10:00〜17:00、10月以降は10:00〜16:00 ※作品によっては左記以外の場合も
定休:毎火・水曜日 ※作品によっては左記以外の場合も(Tunnel of Lightなど)
料金:個別鑑賞料は300〜1000円 / パスポート 一般4,500円(前売 3,500円・会期前日までに購入のこと)

公式サイト:https://www.echigo-tsumari.jp/
公式アプリ:詳細はこちら(iOS・Android)
オーディオガイド:詳細はこちら(iOSのみ)
Tunnel of Lightの予約サイト:アソビュー!「清津峡渓谷トンネル」
公式ガイドブック:アマゾンやRakutenで購入可能(1,200円)

年に1度、夏〜秋にかけて開催される大地の芸術祭ですが、会期中はもちろん、それ以外の時期に行われるパフォーミングアートやイベントも見どころの一つです。
※2024年2月には田中泯さんによる雪上のパフォーマンスが開催されました。
大地の芸術祭のメルマガに登録したり、SNSをフォローしておきましょう。

公式アプリは事前にダウンロード&ブックマーク!

広域の芸術祭を巡るにあたって、「どこに、どんな作品があり、どこに駐車したら良いのか?今日は鑑賞できるのか?」がいち早く調べられるのはとっても重要なこと。
さらに、立ち寄りたい作品をブックマークできると尚良し。
その点、大地の芸術祭が公式で用意しているアプリは秀逸でした。
ぜひ事前にダウンロード(無料)し、下調べをしながらブックマークして行きましょう。

大地の芸術祭アプリ
ブックマークした作品だけの一覧表示もあり
ブックマークした作品だけの地図表示にも切り替えられ
もちろん作品紹介、地図アプリへの連携もあり

楽ちん!オフィシャルツアーで巡る

5コースの異なるエリア・作品を巡るオフィシャルツアーが用意されています。
人で周る場合も、観るべき作品&ルート、所要時間の参考にすると良いでしょう。

◉ Aコース|越後妻有コース(1日コース・ガイド付)越後湯沢駅発着

越後湯沢駅

マ・ヤンソン / MADアーキテクツ「Tunnel of Light」(清津峡渓谷トンネル)

「たくさんの失われた窓のために」内海昭子

「別の場所から来た物」ニキータ・カダン

「最後の教室」クリスチャン・ボルタンスキ-+ジャン・カルマン

奴奈川キャンパス “子ども五感体験美術館”

【昼食】TSUMARI KITCHEN

まつだい「農舞台」フィールドミュージアム

まつだい郷土しりょう館

鉢&田島征三 絵本と木の実の美術館

越後妻有里山現代美術館 MonET/明石の湯

越後湯沢駅


◉ Bコース|十日町・川西コース1日コース・ガイド付)十日町駅発着

十日町駅

「キューブ」楢木野淑子

「Kiss & Goodbye (土市駅)」ジミー・リャオ(幾米)

「人間エンジン」東弘一郎

「MAN ROCK Ⅴ」アントニー・ゴームリー

「HERE-UPON ここにおいて 依り代」景山健

枯木又プロジェクト

妻有田中文男文庫

「農具の時間」河口龍夫

【昼食】うぶすなの家

「つキかガみ巡ル月」牛島智子

「光の館」ジェームズ・タレル

「時の回廊 十日町高倉博物館」力五山−加藤力・渡辺五大・山崎真一−

「三ツ山のスフィンクス」久保寛子

越後妻有里山現代美術館 MonET(降車のみ)

十日町駅


Cコース|中里・津南コース1日コース・ガイド付)越後湯沢駅発着

越後湯沢駅

磯辺行久記念 越後妻有清津倉庫美術館 [SoKo]

「ポチョムキン」カサグランデ&リンターラ建築事務所

「カクラ・クルクル・アット・ツマリ」ダダン・クリスタント

越後妻有「上郷クローブ座」

【昼食】「上郷クローブ座レストラン」EAT&ART TARO

香港ハウス

「Air for Everyone」アン・ハミルトン

大割野商店街

アケヤマ –秋山郷立大赤沢小学校–

「妻有双六」原倫太郎+原游

秋山郷結東温泉 かたくりの宿(ツアー降車可能)

津南町役場(降車のみ)

越後湯沢駅


◉ Dコース|松之山コース(半日コース)まつだい駅バス乗り場発着

まつだい駅

越後松之山「森の学校」キョロロまたは美人林(選択)

「32 Resting Stones/三二と休石」中﨑透

「家の記憶」塩田千春

「夢の家」マリーナ・アブラモヴィッチ

「ブラックシンボル」サンティアゴ・シエラ

「in and out」アイシャ・エルクメン

「不思議な石」elparo

オーストラリア・ハウス

まつだい駅


◉ Eコース|松代コース(半日コース)まつだい駅発着

まつだい駅

華園(中国ハウス)/「五百筆」ウー・ケンアン(鄔建安) 

「野辺の泡」マ・ヤンソン / MADアーキテクツ

「空知らぬ雪」椛田ちひろ+有理

星峠の棚田

脱皮する家」鞍掛純一+日本大学藝術学部彫刻コース有志

「明後日新聞文化事業部」「想像する家」日比野克彦

妻有アーカイブセンター

桐山集落にある3作品

「黄金の遊戯場」豊福亮

まつだい駅


◉ テーマ型コース(1日コース)例 ※テーマにより異なる

2024年7月20日:86B210「ゾメキ」ツアー
2024年7月13日:北川フラムと巡る オープニングツアー
2024年9月1日:北川フラムと巡る ALL津南

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MAY

東京でWebマーケティング・ECコンサルに従事した後、2011年に長年の夢であった海外生活をすべくロサンゼルスに移住。現在はフリーランスとして旅をしながら様々なWebプロジェクトやアテンド案件に参画。
趣味:街散策(#しべさんぽ)、ロードトリップ、キャンプ、国立公園巡り、イベント巡り(特にフェスと映画祭)、西海岸メイドの素敵なブランドを発掘すること。

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