一般人も参加できる映画祭
映画の街ハリウッドがあるロサンゼルスには様々な映画祭があります。
中でもわたしのテンションが最も上がるのが、毎年10〜11月に開催される「AFI FEST」。
American Film Institute(AFI)が主催する映画祭で、2023年には140作品以上が上映されます。
アカデミー賞やゴールデングローブ賞のような「授賞式」ではなく、海外からを含めた多くの作品を、より多くの人たちに楽しんでもらうための映画祭なのです。
※AFI FESTのスローガンは"Film is for everyone"
数年前まではプレミア上映を除き、ほとんどの映画が無料(要予約)で鑑賞できたけれど、現在は有料($18)に。
2023年10月現在、SAG-AFTRAストライキ中で、レッドカーペットをはじめ映画上映後のQ&Aセッションにはキャストは欠席。
初日のオープニング作品『Leave the World Behind』のプレミア上映には、主演のジュリア・ロバーツやイーサン・ホークの姿はなく、監督のサム・エスメイルのみが登場。
2015年に同映画祭を訪れていた際、たまたま『The Big Short(マネー・ショート 華麗なる大逆転)』のプレミアの時間帯にぶつかり、ライアン・ゴスリングとクリスチャン・ベールを見ることができました。
さすがハリウッドの映画祭。
結構な大物たちが登場するのです(通年は)。
2023年の上映作品(邦画)
『EVIL DOES NOT EXIST(悪は存在しない)』
『ドライブ・マイ・カー』『偶然と想像』の濱口竜介監督による最新作。
「悪は存在しない」というタイトルから、「悪役は出てこないってこと?悪いことは起きないってこと?」と安直なことを考えながら鑑賞。
自然と人間、野生動物と人間、都会と田舎、娯楽と生活。
それぞれが存在し、良いとか悪いとかではなく、ただそれぞれの思惑があるだけ。
ラストシーンは「どういうこと?何が起きたの?」という終わり方。
まだ消化不良です。
もう1回観たい。
『Perfect Days』
『ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ』『ピナ・バウシュ』のヴィム・ヴェンダース監督による最新作。
大変良かった。
渋谷区を中心に公衆トイレの清掃員をしている主人公(演:役所広司)の日々の生活、ときおり起こる出来事、それによる感情の揺れを丁寧に繊細に紡いだ作品。
「これは確かにカンヌで男優賞を受賞するよなぁ」と感心しながら、最後の最後でさらに唸りました。
観客たちの反応もよく、エンドロールと上映後の2回、拍手がおこりました。
『RYUICHI SAKAMOTO | OPUS』
2023年3月に逝去した音楽家、坂本龍一さんの最後のピアノコンサート。
監督は映像作家の空 音央さん(坂本さんのご子息でもある)。
わたしは2019年にロサンゼルスで行われたコンサートにて、最初で最後の坂本龍一さんの生演奏を聴いています。
あのときもこんな風に、こんな表情で、全身の神経を使って奏でていたのかなぁ。
モノクロでアップで映し出される教授の姿と、音楽に、観客全員がものすごく集中しているのを感じました。
余談ですが、先日、BTSのSUGAさんのドキュメンタリー映画『SUGA: Road to D-DAY』を観ました。
坂本先生を大尊敬するSUGAさんが、2022年9月に彼に会いに行った様子が登場します。
SUGAさんがミュージシャンになったのは『ラスト・エンペラー』の音楽がきっかけだったそう。
余命との日々を送っていたであろう坂本先生に、彼を尊敬してやまない若い世代のミュージシャンが海外から会いに来る。
勝手ながら「『あぁ、音楽をやってきてよかったなぁ』なんて思ってるのかな」なんて想像しつつ、涙が出ました。
AFI FEST 2022の様子
AFI FEST(映画祭)
期間:10月〜11月に1週間程度
場所:TLC Chinese Theater
駐車場:地下駐車場は映画館のValidationで4時間$3
参加方法:公式サイトでパスまたはチケットを購入
・PREMIUM FEST PASS – $500: レッドカーペットを含む全作品を鑑賞できる
・FEST PASS – $250: レッドカーペットを除く全作品を鑑賞できる
・チケット: $18/作品