ビールにも種類はイロイロ
アメリカ西海岸で火が付き、今や全米、全世界に人気が飛び火しているクラフトビール文化(参照:「西海岸のクラフトビール文化」)。その代名詞とも言えるビールが、インディア・ペールエール、通称IPA(アイピーエー)です。ここではこのIPAってどんなビール?というのを解説したいと思います!…が、その前に…。
大前提として、ビールって使用する酵母の種類や原料の違いなどで、かなりたくさんの種類があるんです。日本でもキリン、アサヒ、サッポロ、サントリー、エビスなどのメーカーがあって、「俺はアサヒのスーパードライ派」「私はやっぱりエビス」とか皆さん好みがあると思うんですが、多種多様なビールの種類の中で言うと、これら日本のビールのほとんどが「ピルスナー(ラガーの一種)」に分類されるビール。もちろん日本のビールは最高においしいですけど、せっかくビール好きなら、新しい味のビールも試してみたくないですか?
…というわけで、西海岸的にはまずIPA。どんなビールなのかというと、ビールは大きく分けるとラガーとエールに分かれるのですが、後者のエールに当たります。大麦麦芽が原料で、専門的に言うと上面発酵ビール(麦を煮てできた麦汁をビールに変化させる「酵母」がビールを作るタンクの上面に浮き上がるビール)で、20℃前後の常温で短期間で発酵させるタイプのビールです。
IPAとは"インディア"で"ペール"なエール
じゃ、次にペールエールとは?というと、「ペール=Pale」ということで淡い色のエール。同じエールのグループに属する「ギネス」を代表とするスタウトに比べると色が淡いということでペールなんです。特徴は、日本のビールと比べてまろやかで、香りや味が複雑でフルーティー。キンキンに冷やして喉越しを楽しむのではなく、13℃くらいの温度で香りや味をしっかり味わいます。
では最後に、「インディア」とは?18世紀末、イギリスからインドにエールを輸出しようとした際、長い航海でビールが腐ってしまう対策として、防腐剤になるホップを大量に入れ、さらにアルコール度数を高めました。これが「インディア」という名前が付いた由来であり、ホップが大量に入っていることこそがIPAの最大の特徴。大量のホップのせい(おかげ)で苦味が強いのですが、これが慣れると癖になる、いい苦味なんです。ちなみに、西海岸をはじめとするアメリカのIPAは、北米産のカスケードホップを使用していることが多く、「アメリカンIPA」とも呼ばれます。カスケードホップのフローラルな香りと柑橘系の強い苦味のおかげで、グレープフルーツのような苦味と香りが特徴です。
ビールにも種類はイロイロ
西海岸のIPAを楽しむなら、もちろんカリフォルニアやオレゴン、ワシントンにあるブリュワリーやバーで飲むのが一番なのですが(おすすめブリュワリーなどはまた別の記事で紹介していきます!)、日本でもおいしいIPAは飲めます!
例えば静岡県の修善寺に醸造所を構えるBaird Beerは、アメリカ出身のブライアン・ベアードとさゆり・ベアードさん夫婦が2000年から始めた本格的ブリュワリーで、IPAも定番ビールとして作っています。タップルームが東京だと中目黒や原宿にあるほか、通販もやっているので、ぜひ一度トライしてみては。
そのほか、キリンも「Spring Valley Brewery」というブランドでクラフトビールを作っていて、IPAとラガーの良さを両立したビールもラインナップ。2015年4月には代官山でビールが楽しめるレストランブリュワリーも作り、話題を呼んでいましたね。さらに、長野県のヤッホーブルーイングが作る「インドの青鬼」はLAWSONなどコンビニでも買えるIPAとして密かに人気を呼んでいる模様。
…という感じで、日本でもIPAを西海岸っぽいマイクロブリューワリー文化的な雰囲気と共に楽しめる環境が整ってきているので、「まだIPAを飲んだことがない」という皆さんはぜひ一度お試しを!
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